40代からはじまる歯周病のリスクと歯周病予防
40代は仕事や家庭が最も充実した時期である一方、身体の変化が徐々に現れ始める年代でもあります。特に歯周病については、40代から大きなリスクが高まることが分かっています。実際、40歳以上の約8割の方が、自覚がないまま歯周病にかかっていると言われています。

免疫力の低下と生活習慣の変化
40代になると20代の頃と比べて免疫力が約半分にまで低下してしまい、歯周病菌に対する抵抗力も大きく弱まります。若い頃は高い免疫力によって歯周病菌を防御できていたため、多少歯磨きが不十分でも問題ありませんでしたが、40代以降は同じような歯磨きでは歯周病菌に対抗できなくなってしまいます。
また、この年代は仕事での責任が増して睡眠時間が不規則になったり、食生活が乱れがちになったりと、健康的な生活リズムを保ちにくい時期です。過剰なストレスは唾液の分泌量を減少させ、口腔内の自浄作用を低下させます。これらの要因が重なり合うことで、歯周病のリスクは大きく高まっていくのです。

気づきにくい進行と深刻な影響
歯周病の厄介な点は、痛みなどの自覚症状がないまま静かに悪化してしまうことです。歯ぐきからの出血や口臭、歯のグラグラ感、かみ合わせの違和感といった症状に気づいた時には、すでに病気がかなり進行していたなんてことも。
40代で歯周病を放置してしまうと、50代、60代で深刻な問題に直面することになります。歯を失うことで食べ物を噛む力が低下してしまい、食事の質は大きく損なわれてしまうだけでなく、失った歯の治療にインプラントなどが必要となれば、高額な費用負担も避けられません。
メンテナンスと予防の重要性
歯周病は、一度進行してしまうと完全な回復は難しい病気です。そのため、予防と早期発見が極めて重要になります。40代では3-6ヶ月に1回の定期検診が推奨されており、専門的なクリーニングと歯周ポケットの検査等を定期的に受けることが大切です。
また、従来の「汚れを落とす」だけの歯磨きから、歯肉をマッサージする丁寧な歯磨きに変えていく必要があります。歯科衛生士による指導を受け、自分の口腔状態に合った適切なケア方法を身につけられれば、歯周病の進行を抑えることができるでしょう。

生涯の健康を左右する転換期
40代という時期は、定期的な学校検診がなくなってから約20年が過ぎ、それまでの口腔ケアを見直す重要な転換期と言えるでしょう。この年代からは意識的に免疫力を高めていく必要があり、十分な睡眠時間の確保やバランスの良い食事など、基本的な生活習慣を整えることが重要です。
日々の予防と歯科医院でのプロフェッショナルケアを続けることで、健康な歯の維持は十分に可能です。生涯にわたり充実した生活を送るため、今のうちから歯周病予防に真剣に向き合っていただければと思います。
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